雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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ホラーからギャグまでぎっしりと『ユーレイ窓』

三宅乱丈の短編集。この人ってつくづく多才な作家だわ。

4778321022三宅乱丈作品集 ユーレイ窓 (Fx COMICS)
三宅乱丈
太田出版 2009-11-19

by G-Tools
★★★★



うーん、すごいよなぁ。まさしくこの人にしか作れない。
三宅乱丈という漫画家はSFからキワモノまで色んなものを一級品で作れる人。このユーレイ窓にも47C6とユーレイ窓を代表とするホラーに始まってギャグ、ヒューマンドラマと多彩な短編が揃っている。

恐らくテーマを決めて書かれたのではなくて、数集まったからまとめとくか!みたいなノリで出来た短編集だと思う。良く言えば多彩、悪く言えばごちゃごちゃしてるってことで。
しかしおもしろいのが、てんでバラバラな短編のあつまりを逆手にとっての構成だったりする。

まず序盤のホラー作品群がすげぇ怖い。特に47C6なんて震える震える。漫画でこういう恐怖を感じるのは個人的にあまりなくて、それだけでも満足なんだけど、その後の短編へのつなぎ方がちょっと尋常じゃない。
ある短編で驚くほどすぱっと切り替わる。しかも短編同士の間ではなくて短編の中で。途中までは完璧にホラーなのよ。実際すごくびくびくしながら読んでいて、それがいきなり曇り空に切れ目が入りまばゆい光が射したかのようにギャグになる。
素晴らしすぎるよ三宅先生…。とんでもない落差もあいまってめちゃくちゃ笑った。もはやシグルイ風にお美事と言いたくなる位の離れ業。前の短編を利用してのトリックなんて初めて見ましたよ。しかし狙ってんのかな? 分からない。

その後の作品も本能寺の変の新説やミント刑事などギャグ短編の傑作揃い。どちらも最高。そして最後は人間味あふれる温かい作品で締められる。
うーむ、序盤のホラーを考えるとありえない笑。しかしだからこそユーレイ窓は夜読むのにも良いんだよなぁ。怖いけれど、それが途中で笑いに変わり、最後は温かい気持ちになれる。気持ちよく眠れるわけ。悪夢なんて絶対見ない。

何かもう色々とすごい。単体としてももちろん、短編集としても。結果として出来上がったのはキワモノなんじゃないのかという気もしていて、三宅乱丈の様々な才能を楽しめる。
三宅乱丈入門にも良いだろうし、イムリやPETでその才能に驚愕した人にもおすすめしたい。こういう人を奇才って言うんだな。どこから出てきたか分からない天才。
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