雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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人間とアンドロイドの違いは?『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

ブレードランナーの原作としても著名なSFの傑作。

4150102295アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
フィリップ・K・ディック カバーデザイン:土井宏明(ポジトロン)
早川書房 1977-03-01

by G-Tools
★★★★★



40年前のSFですよ?全く古臭さを感じさせない。サイバーパンクの源流の一つとも言われる本作だけど、結局人間とは…というテーマは普遍的なものであり、SFの中でもオールタイムベストの一つに挙げられると思う。
それにしてもこの小説からブレードランナーが作られたとは凄いな。基本プロットは一緒にしても、趣はもはや別物。キック・アスといいアメリカ映画は原作の改変の良さが印象に残る作品が多い。もちろんアイ・アム・レジェンドのようなひどいものもあるにしろね。

舞台は放射能によって多くの生物が絶滅してしまった地球。多くの人間はそんな地球から逃げ出し、他の星に移住していた。科学技術は現在より格段に進歩し、人間と見紛う人造人間や感情をコントロールするムードオルガンなど独自の文化が発達している。
地球に残る数少ない人間の一人、リック・デッカードは逃げ出したアンドロイドを処理する賞金稼ぎ。ある日リックは上司に火星から逃げ出した8人のアンドロイドの処理を命じられる。リックは任務を遂行するうちに、人間とアンドロイドの違いに段々自信が持てなくなっていって…。

映画では派手なアンドロイドとのアクションがフィーチャーされていたが、小説ではわりと戦闘シーンは淡白になっている。リックとアンドロイドの駆け引きは手に汗握るおもしろさではあるにしろ、それは刺身のツマのようなもの。
題名の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」はリックの迷いを素直に表した台詞がそのまま使われている。作中ではアンドロイドの識別テストに代表されるように、“共感能力”がアンドロイドと人間の決定的な違いとされる。しかしそう単純に割り切れるものではないからこそリックも、読者も迷いを覚える。

確か本来生命の定義とは代謝と生殖の能力であったと思う。だからこそウィルスは生命ではないのだよと。この作品が問いかけるのはそういう学術的なものではなく、本当にシンプルでかつ深い質問だ。
例え共感能力はあるにしても、ムードオルガンによって感情をコントロールされる人間は本当に自分で考えて逃げ出すなどしているアンドロイドより人間らしいといえるのか?人間ではなく、アンドロイドによって救われる人間だっている。そんな風に思えば今度はアンドロイドの行動に鳥肌がたつ。
リックと一緒に私の精神も混迷を深めていく。

最後にリックを救った者、そして彼がたどり着いた全てを飲み込む結論。ハッピーエンドであることは疑いないにしても、そう思わないと自我を保てない人間って…。
終盤の展開とラストは本当に強烈なアイロニーに満ちていた。価値観の崩壊とそこで生きるための新たな価値観。興味深くもあり悲しくもあり。

人間と機械の違いというとSFの中でも王道のテーマの一つだと思う。この作品が一つの到達点であることは疑いない。だって未だに色あせていないんだから。
「考えさせられる」って言葉はあんまり使いたくないのだけど、本当にそんな小説だった。良い読書をさせてもらいました。
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| 小説 | 23:12 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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