雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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Dial H : Into You

ミエヴィルのイマジネーション大爆発!なヒーローもの。

1401237754Dial H Vol. 1: Into You (The New 52)
China Mieville Mateus Santolouco
DC Comics 2013-04-23

by G-Tools
★★★★★


 
 現在、Sagaと並んでアメコミのオンゴーイングでは一番偏愛してるシリーズ。ライターは現在SF/ファンタジー界の第一線をひた走るチャイナ・ミエヴィルというビッグネーム。表紙見てくれれば分かるように、あんなにデカデカとライターの名前を押し出してるのは見たことがないのでDCの期待も分かろうってものである。
 ミエヴィルは以前ヘルブレイザーのクリスマススペシャルを書いてたり、またスワンプシングのライター就任直前までいったそうなので、以前から興味はあったんだろうなあ。またVERTIGOの一線から退いたカレン・バーガーが編集ということで、そういうムーアら同様のブリティッシュなつながりもあったのかもしれない。

 ネルソン・ジェントは職なし女なし、酒とタバコに人生を捧げる太った元ボクサー。30歳にも達してないのに心臓麻痺で死にかける始末…。そんな彼のことを唯一心配してくれる友人ダレンであったが、ネルソンはふざけた態度でダレンを怒らせてしまう。後悔し、謝るためにダレンを追いかけるネルソンであったが、どうやらダレンはやばいことに関わっていたらしく、人相の悪い奴らにボコボコに。助けようとするも一蹴されるネルソン。助けを呼ぼうと近くの公衆電話で無我夢中にダイヤルを回すと…。突如ネルソンはボーイ・チムニーに変身し、悪漢たちをぶちのめす。彼が回したダイヤルはH-E-R-Oだった。

 下敷きになっているのは以前DCで連載されていた『Dial H for Hero』というシリーズ。ダイヤルを回すことで色んなヒーローに変身できるというシリーズだったらしい。そういや以前ジャンプでも似たような漫画やってたよね。確かギャグ漫画で。
 この『Dial H』においては、ダイヤルを回すことでネルソンはランダムに様々なヒーローに変身することができる。これがまたミエヴィルと相性がいいんだよなあ。様々な世界観やジャンルをツギハギにして想像も出来ないような世界観を魅せてくれるのがミエヴィルの持ち味だから。どんどん登場する奇妙なヒーローを眺めるだけでめちゃくちゃワクワクするわけで。また奇抜すぎて中々イメージしずらいミエヴィル作品だけども…(PSSの頭が甲虫で身体が女性のケプリとかさ)。そのミエヴィルのとんでもない想像力がMateus Santoloucoのアートと組み合わさって、映像として体験できるのがもう最高なんだ!

クールでおどろどろしいボーイ・チムニー。

Dial H3

人間の哀しみの記憶を力に変えるキャプテン・ラクリマス。

Dial H2

何故かかたつむりの殻を背中に背負う軍人アイアン・スネイル。

Dial H4

 どいつもこいつも素晴らしい!
 ちなみにMateus Santoloucoは小プロから発売が決まってる2ガンズのアーティストでもあるそう。カバー・アーティストはかのブライアン・ボランド御大が担当しているのでこちらも見応えありまくり。

 もちろん物語だってミエヴィルなのだから一筋縄ではいかない。もう一人のダイアラーであるマントが登場するのだけれど、その正体だってネルソン同様あんまりヒーローらしいとはいえないよねぇ。またこの1巻では敵であったSquid(イカ)と組んでアビス(虚無)を追うストーリーが主軸なのだけれど、その経緯や虚無を飼い慣らすイカの世界だったりはあまりにもブッ飛んでいて少々ポカンである。ヒーローものの定型とはキャラクターからストーリーからあまりに逸脱していて…つまり超楽しい。
 ミエヴィルのこれまでの作品同様どんどん舞台がツギハギされながら話が進んでいくのだけれど、Dial Hの場合ダイアルを巡る謎(その起源、力を借りることになるヒーローたち、他のダイアラー等)が主軸になっているので、ミエヴィル作品の中ではかなり読みやすい。アートがブッ飛んだ想像力を補完してくれるのもあって。

 またいきなりシチュエーションコメディ風になっちゃう第6話なんて好きだなあ。そもそもリビングにぼーっと座ってるインディアン(表情が少し松本大洋風)という絵ヅラだけでも楽しいのにさ笑。キャプテン・マイティアローが外に飛び出していけない理由が鈍感な連中やレイシストの反応を心配してだったり、出番を待つネルソンを他所にうんこ爆弾で銀行強盗をやっつけるウィンギィだったり…笑った笑った。ネルソンとマントのやり取りは微笑ましくて本当いいやね。

Dial H1

 とはいえ徹底的にアンチ・ヒーローものかというとそういうわけでもなくて…やっぱりその核にはヒーローものが持つワクワクや熱さがあるんだよね。ネルソンはあらすじを見れば分かるように、本当に落ち込んだ状況で暮らしている。自分自身の生活よりも、ダイアルを回して悪い連中をやっつける方に喜びを見出し、それゆえにネルソンのアイデンティティは変身した様々なヒーローによって脅かされていく。でも1巻のタイトルは「Into You(あなたへ)」なんだよね。これはネルソンが現実から逃げる物語ではなくて、自分を取り戻し、前に進む物語であるはずなのだ。ダイアルがなくてもイカの言葉に励まされ、勇気を出して「レスキュー・ジャック!」を名乗り、マントを救出に向かうネルソンには最高に熱くなったよ。

 で、そんな私が偏愛するDial Hなのですが…何と2巻をもって打ち切りが決定しました。呪われよ!呪われよ!
 最近のDCの売上偏重主義だったりVERTIGOがNew52に組み込まれたりしているのをみると、決して悪いことばかりではないんだろうけど、近頃ゲイマンのサンドマンやムーアのスワンプシング等を気に入って読んでいる私とすると本当に残念だなあと思う。Dial Hみたいなシリーズはどうしてもリーフ単位では売上が悪くなるのは理解できるし、これからはより成熟したコミックの読み手が志向するのはIMAGEだったりってことになっちゃうのかな。もうちょっとDCも頑張ってよなんて思うのだけれど…。いや、でもDial Hは本当に面白くてワクワクするコミックなのですよ。もしかしたらハヤカワあたりが邦訳してくれないかななんて期待があるのだけれど、どうでしょう。特にペルディード・ストリート・ステーションやアンランダンみたいな底抜けに奇妙でお祭りな世界を体験したい人におすすめ。
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| 海外マンガ・原書 | 01:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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