雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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正真の常人『バットマン:アースワン』

常人最強レベルですらないバットマン。

4796871446バットマン:アースワン (ShoPro Books)
ジェフ・ジョーンズ ゲーリー・フランク
小学館集英社プロダクション 2013-03-23

by G-Tools
★★★



 まずアースワンとは何やらというと、DCコミックスのメインとなるアース(New52現在ではPrime Earthという呼称)とはまた異なる次元の地球を舞台にした一連のシリーズということ。コンテュニティを気にしなくて良いので、ある程度好き勝手できるのはこれまでのエルスワールドとは変わらないのだけれど、アースワンでは21世紀に対応した古典的ヒーロー像の新たな再解釈を行っていくらしい。

 ではこのバットマンにおいてジェフ・ジョーンズがどんな再解釈を試みているのかというと、徹底的にリアルな世界観に近づけたバットマン像だ。簡単に言うと、バットマンでキックアスをやっちゃったということで…。
 ゆえにアースワンのバットマンはとにかく弱い。冒頭でワイヤーは絡まり、ビルの間を飛び移るのに失敗して転落し、目の前で強盗に遭遇しても見なかったふりをし、罪悪感を感じたか近くにいた物乞いにはお金を渡す。蝙蝠のコスチュームだって敵に恐怖感を呼び起こさせることもない。そんなバットマンの弱さには中々に衝撃的なものがあった。

 もちろんバットマン以外のキャラクターの改変も魅力的な所で…。ペンギンの見事な悪役市長っぷり、ゴッサムに巣食う悪に怯え何もできないゴードン、あまりに軽すぎるほど快活ででも正義の心を秘めたハービー・ブロック。そして何より強烈なのは、元海兵隊で義足のアルフレッドが本来のウィットに富んだ皮肉や知性は欠片も見せず、あくまで現実的にブルースを想いそんなことはやめろと言い続ける姿だ。

 そんなキャラクターの再解釈はもちろん面白いのだけれども、それはこれまでのエルスワールドでも同様のことであって。例えばフラッシュポイント:バットマンのように、驚きに加えてピタッと神がかり的に歯車が噛み合う感覚があるわけじゃない。ゴードンとブロックが「ここはゴッサムだぜ?もちろん悪い警官と悪い警官さ」と立ち上がる姿は格好良くて、渋いアルフレッドの活躍には心が踊るけれど、イヤーワンでのゴードンやデアデビル:ボーン・アゲインのユーリックやカレンがどん底から這い上がる姿に震えたほどの感動はなかった。

 結局私がバットマン:アースワンに物足りなさを感じるのはやっぱりバットマンなんだよなあ。この1巻において何だかんだブルースは様々な助けを借りつつも、事件を解決し、両親の事件の真相を知る。じゃもういいだろというアルフレッドに、ブルースはそれでもバットマンはやめないというわけだ。
 常人最強レベルの肉体と精神がなかったとしても、バットマンをバットマンたらしめているものは変わらないというのがジェフ・ジョーンズがこの作品で描きたい部分だったように思える。バットマンをやめないというブルースに対して、それならばとアルフレッドは「それだけじゃ足りない。伝説になれ」と言い、実際にその後の描写を見るとそうなったんだろう。

 でも何が致命的にもやもやするかというと、結局ジェフ・ジョーンズは“バットマンをバットマンたらしめている部分”をぼかしている様にしか見えないんだよね。弱いバットマンが何故伝説になれるのかがこの作品の肝なのに、そこに決定的な断絶があるわけで…。ジェフジョンはグリーンランタンやフラッシュはもちろん、ヴィラン等を扱った短編でもそのヒーローやヴィランのコァをグッと掴んでくれる人だけれども、少なくともこのバットマン:アースワンの1巻ではそうではなかったように思えた。

 とはいえもちろん面白い作品ではあって。ジェフ・ジョーンズは大好きなライターなので少々期待しすぎた部分もあるんだよなあ。2巻は2013年中に発売予定だそうなので、引き続き小プロが続刊を邦訳してくれることを期待してます。ちなみに新たなオリジンストーリーではあるのだけれど、けっこうな変化球なので決してバットマン入門には向かない一冊ということには注意した方がいいかもしれない。
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| 海外マンガ・原書 | 23:21 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

>お前は伝説にならねばならん
原語だと「We need to build a legend.」で
「俺たちで伝説をぶったてるんだ」という意味合いと受け取っていたので
何となくこの世界の『バットマン』とはブルースだけでなくアルフレッドも加えて
初めていっちょまえになるのかなと受け取っていました。
ブルースが独り立ちできるかは続刊次第かなとか、でもあの貧弱ぶりは母性をくすぐられるから
しばらくあのままでもいいかなとか色々気になるので続刊も期待したいですね。

どうでもいいけど個人的にあのワイルドジジイの一人称は『俺』なのです(ホントにどうでもいい)。

| 久仁彦 | 2013/05/09 10:21 | URL | ≫ EDIT

Re: タイトルなし

なるほど、その訳の違いはけっこう大きいですね。
個人的には巻末でいっちょまえになってるのかどうかがかなり気になります。
またアースワンのブルースだけじゃワールド・ファイネストなんてありえない雰囲気なので、クロスオーバーも含めて続刊は楽しみですね。
出来れば小プロに邦訳して欲しいですが、まあジェフジョンなのでとりあえずは安心。

そういや私は原書読む時全然一人称意識してないなあ。
原書で買った作品の邦訳を買ったことがないので、実際読んだら違和感あるもんですかね。

| 骨付きタロー | 2013/05/09 20:37 | URL |















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