雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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違った世界だからこそ見えるもの『三文未来の家庭訪問』

アフタは毎年面白いSF描ける人を発掘してくるなあ。

4063878783三文未来の家庭訪問 (アフタヌーンKC)
庄司 創
講談社 2013-03-22

by G-Tools
★★★★


 
 勇者ヴォグ・ランバを読んだ時は、庄司創という漫画家はどちらかというと人の情緒よりも理論に偏ったような物語を描く人で、またあんまり漫画という形式にこだわってはないのかなという印象があって。というのもヴォグ・ランバではあまり絵にこれといった魅力は感じなかったし、何より途中からこれを漫画でやる意味はあるのだろうかなんて思ったりもしたもんな。

 だから『三文未来の家庭訪問』は嬉しい驚きだった。3編どれも甲乙つけがたい非常に面白いSF中編ぞろいであったのはもちろん、独特に組み上げられた世界観の中であっても焦点が当てられていたのは人の心の機微であったし、そして想像もしなかった角度から人間の姿が素敵に切り取られていたから。久々に至福なSF漫画体験でした。以下それぞれの感想。

 辺獄にて
 宇宙人が“個”の強烈な感情を味わいたいがために、地球人のために作り上げた「人生完結センター」という名の地獄(そして天国)。信じられない体験に戸惑いつつも男は、これまでの人生と一人の女性を想起する…。
 宇宙人が創りあげた地獄という正気を疑う状況の中で、男がこれまでの傷だらけの人生を肯定し愛情を発見するというあくまで日常の物語が語られるというとんでもないアンバランスさ…。でもそれがぴたっとハマっちゃうんだよなあ。SF的な世界観が面白いのでぐいぐい読まされちゃう一方で、人間ドラマにグッとくる感覚はこそばゆくて楽しかった。地獄を抜け出す方法が他人を想うことなんてたまらないでしょ。

 三文未来の家庭訪問
 リタは男だけど、子どもを産むことができる身体。彼はかつて所属していた団体において遺伝子改造を受けたのだった。そかしその団体は違法であったために解散され、リタは普通の小学校に編入することになって…。
 この作品では描かれる社会自体がとても面白かった。遺伝子改造団体や社会奉仕を旨とする団体があるようだけれど、その中だけで完結する団体からはどうやら税金を収めてもらえず政府は困っているらしい。また家庭相談員は担当する子どもの収入が高くなるほどもらえる年金が高くなり、担当する子どものトレードも行われている。物語の間に垣間見られる近未来はどこか不思議で興味をそそられる。でもこれはあくまで団体に束縛されて自由な生活が送れないマキと男の子なのにそうは見られないリタの物語であり、主に描かれるのはリタとマキの交流だ。また漫画でしか読めないジェンダーSFでもあって。リタを男の子には見えないという相談員のカノセさんがそもそも読み手からすると見た目からは性別が判断出来ない一方、始めは女の子にしか見えなかったリタがクライマックスでは紛れもない男の子に思えるという奇跡。性の定義に、そのバラエティに三文未来のさらに先を想起させられ、何よりリタの格好良さとマキちゃんと可愛さが素敵だった。

 パンサラッサ連れ行く
 カンブリア紀に起こった生命爆発と大量絶滅。今の人類の視点から、彼らの発展と死への道のりに喜びと飽くなき苦悩を見出していく。
 甲殻類同士の哲学議論と神の探求なんてあまりに面白くあまりに突飛なアイデアに笑いそうになったのは一瞬だけで、そのロマンに心を持ってかれた。とてつもない過去に爆発的に生きて、そして死んでいった生き物たちがいて、私たちと変わらない喜びと苦しみを感じていたんだ。そんなカンブリア紀に思いを馳せ、その興奮に酔いしれた。
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