雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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言葉に出来ない『絶対安全剃刀』

私が1番好きな短編集。高野文子のデビュー作。

絶対安全剃刀(高野文子)

★★★★★



まずタイトルからビビッと来る。絶対安全剃刀…何だろう?、読むと本当に電気が走る。すごいものに出くわした時の衝撃。
広い漫画界だから天才と呼ばれる人は少なくないし、色んな天才がいる。その中でも高野文子に関しては例え好きじゃなかったとしてもその才能を否定できる人はいないと思う。30年前の作品なのに未だ失われない革新性。多分こんな作品はさらに30年後にも色あせないのだろう。

絶対安全剃刀は17編からなる短編集。一番短いものは3ページ、一番長いものでも20ページしかない。でもそこに込められた密度は凄まじい。
どうもさっきから一番だの密度だの抽象的なことしか書けていない。私の力不足もあるのだけど、そんな作品群なのだ。形容できない、言葉に出来ないものだからこそ限りなく深い。でも出来るだけ表現してみよう。

この絶対安全剃刀の中でもほぼ全ての読者の目が行くのは「田辺のつる」。わがままな幼い子どもの話かと最初は思う。でもそれはつるの中の自意識。周りの家族が違うものを見ていると気付いた時にはちょっと震える。これぞ漫画の醍醐味だし、漫画でしか出来ないこと。

どれもこれも珠玉という安売りされている言葉が本当にふさわしい短編なのだけど、個人的にお気に入りなのは以下の三つあたり。
「ふとん」は死後の世界での、亡くなった女の子と観音様のとぼけた会話を描いたお話。悲壮感がないからこそ、その女の子のいじらしさと観音様の何ともいえないのん気さが哀しさを際立たせる。泣いた。
「あぜみちロードにセクシーねえちゃん」は行間を楽しむ作品のお手本。いい子と言われていてもね、内心色々あるよ。
「午前10:00の家鴨」は幸せの一つの形をブラックに描いている。何も欲しがらなければ足りなくなることはない。少しぼくんちを彷彿とさせる。
後「うしろあたま」なんか女性が読んだらすごく共感するんじゃないかな。男の私はあまりぴんと来なかったのだけど。

コマわり、絵柄から何から何までこの人の表現技法は幅が広く底が見えない。それが斬新なテーマ性とあいまってとんでもない短編集に仕上がっている。
漫画だからこそ、短編集だからこその魅力が絶対安全剃刀にはいっぱい詰まっている。

本当に言葉に出来ない凄さ、魅力。人間の心情っていうのは形容できないほど奥深いものがある。今後も長くお付き合いさせてもらうであろう名作。
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