雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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少しずつ、ひとコマずつ積み重なる変化『マスタード・チョコレート』

携帯コミックの書籍化ということで。

4781607306マスタード・チョコレート
冬川智子
イースト・プレス 2012-04-14

by G-Tools
★★★


 
 クラスでは周りに全く馴染めないつぐみ。彼女の拠り所は「イグルー」というバンドの音楽だけ。美大に入って自分の居場所を見つけるために、つぐみは美大の予備校に通うことになって…。

 どんな時代でもどこにでもいるんだろうなこんな女の子。もとい男の子。うまく周りと付き合えなくて、ひたすら音楽の中にだけ救いがあって。誰も彼もが多かれ少なかれそういう部分はあるのかもしれないけれども。
 ただそんなつぐみにぐっと共感してしまうかというと、あんまりそういうことはなくて…。というのもこれは彼女が居場所を見つけるまでの物語なのだけど、つぐみ自身が変わったというよりも積極的につぐみに関わっていこうとする周りの友達や先生の優しさが印象的だもんな。積極的に居場所を見つけていったのではなく、あくまで周りに恵まれていた感じ。そういう意味ではつぐみ自身の悲壮さや切実さが感じられなかったし、だからこそ居場所を見つけたラストでのカタルシスは大きくはなかった。

 ただそんな平坦な物語がここまでするすると読めて、つぐみの心情に引き込まれてしまったのはやっぱり携帯コミックゆえの3×3のコマ割りが効果的だったんだろう。今までベデやちょっと前のアメコミによく見られるような、同じ大きさの四角いコマがえんえんと続くコミックは多少の読みづらさを感じることが多かった。それは多分、情報量や時間の感覚が違うのに同じ一コマに詰め込まれている違和感なのかどうなのか。
 でもこの漫画はそんな圧迫感は全く感じないし、むしろとても読みやすい。オフビートな物語がオフビートな絵とコマ割りで語られる。いつの間にか緩やかにこの漫画の世界に、リズムに巻き込まれる。そんな新鮮な体験だった。

 淡々と少しずつ変わっていくつぐみと、そんなつぐみに関わっていく優しい人たち。そんな彼らの変化が一コマ一コマずつ積み重なっていく。物語としてぐっと来たかというと決してそうではなくて…。だって多分現実にはこんな女の子がうまく居場所を見つけられるとは思えない。でも漫画だしね、そんないい人ばかりの世界を嫌味に感じさせない空気がこの漫画の職人技だよなあ。こんなひたすら気楽に、温かい気分で読める漫画は実は珍しい気がする。普通の雑誌にこの人が漫画を描いたらどうなるんだろう。
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