雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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グロテスクに輝く愛『異形の愛』

最高に悪趣味で最高に純愛な小説。
アマゾンで書影が出ないので下はただの画像です。

異形の愛
★★★★★


 
 これは存在を知った時からめちゃくちゃ読みたかった小説。だって柳下毅一郎訳で、フリークス版「百年の孤独」なんてキャッチコピーは訴求力がやばすぎるよなあ。ただ残念なことに版元が倒産、絶版していて…。そこで中古で手に入れて、去年の年末じっくり読んでた。

 まず冒頭から悪趣味フルスロットルの展開。

 子供へのプレゼントにこれ以上のものがある? 自分自身ってだけでお金を稼げる能力以上のものが?
 
 創意あふれる二人は、非合法または合法の薬物や殺虫剤あたりからはじめ、しまいには放射線まで試した。その過程で複雑な薬物中毒をわずらうことになっても、ママは全く意に介さなかった。

 カーニバルを率いる両親は子供たちに優しく語る。彼らは自らの手で奇形の子供たちを産みだしたのだと。そして子供たちは嬉々としてそのアイデアを思いついたお話をせがむのだ。最高に悪趣味すぎる物語にもう夢中になっちゃう。最後までこのテンションなんだからたまらないよ。

 物語は一家の次女であるせむしで小人のオリーによって、アパートに暮らす現在と彼らのカーニバル時代の二つの視点から交互に物語が語られていく。帯に書かれているフリークス版「百年の孤独」よりも、後書きで柳下さんが言うフリークス版「ホテル・ニューハンプシャー」の方が個人的にはしっくりくる。要は、奇形カーニバルビネウスキ一家の一代記だ。

 冒頭から痛いほど分かるように、この一家の観念というのは私たちの一般的なそれとは全く違っていて…。だからこそ“大したことのない”奇形であるオリーはそのことを恥に思い、また普通の人々に対しては複雑な感情を抱く。ただホテル・ニューハンプシャーやアダムス・ファミリーのように、どれほどズレていたとしても家族の中であれば整然と収まってしまうのだ。
 でもよく考えてみると、それは私たち普通の家族でも同じかもしれない。どんな家族でも何かしらのいびつさがあるし、秘め事がある。どんなに嫌気が指したとしても、何が起こったとしても、全てを包み込んでくれるのは家族という場所だけだ。そんないびつに閉じた世界の中で、愛しあい、憎みあい、傷つけあう彼ら。時が進めば進むほどに、すさまじく病的にねじくれていくカーニバル。そしてズレが大きすぎるからこそ、ビネウスキ一家は誰も逃げ出すことができない。

 そして限界まで歪にねじれたカーニバルの姿には最高に興奮した。遂に訪れる終焉には心底鳥肌が立った。身体と同じくいびつに歪んだ心で、グロテスクな憎しみにとりつかれながら、最後には愛にあふれる物語。フリークスと純愛に彩られる驚異のビネウスキ・サーガ。こんなぶっ飛んだフリークスの家族と愛の話なんかもう二度と読めないだろうな。本当に至福の時間だった。

 というわけで手に入りやすいうちに、ぜひ買っておくことをおすすめ。いつか再刊されるかもしれないけれど、絶版が続いている傑作なんて決して珍しくないもの。ところでバートンの映画化は結局流れちゃったみたいで本当に残念。いつかぜひとは思うけれども、いろんな意味で難しいだろうなあこれは…。
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| 小説 | 18:03 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

何を隠そう、っていうかもう隠すまでもないけど(苦笑)、私もグロテスク大好きなので、この本はバートンが映画化するという噂を聞いたときに急いで読みましたよ~ww

フリークス版「ホテル・ニューハンプシャー」と言われれば、まさにその通りですね。
私は、マイケル・ギルモア(実在の連続殺人犯の弟)が書いた本「心臓を貫かれて」を思い出しました。他人から見たら異常であっても、家族の中での血と愛と支配の、濃厚な絆というものが存在すること・・・。家族というものが本質的に持っているものが、グロテスクな形で花開いてしまった、というか・・・。

正直、アーティの双子に対する態度などには愛があるようには感じられず、「家族愛の物語」というのは「?」なんですが、オリーの結末には泣けました。

それにしても柳下毅一郎さんの眼のつけどころは、本当に毎回凄いですよね。

| イザク | 2013/01/14 15:08 | URL |

Re: タイトルなし

こういうのが好きな人にはたまらない本ですよねw
絶版になってるのは心底残念です。

「心臓を貫かれて」は知らなかったのでググッてみたんですが、めちゃくちゃ面白そうですね!
この手のノンフィクション・ノベルは興味があっても中々手を出しかねてたんですが、これは読んでみようと思います。

「家族愛」については私も少し違和感を覚えました。
あれだけ歪な家族関係が維持されていたこと自体が愛なのか…。
オリーの結末には私も泣かされてしまったんですが、あのラストにしろ結果として彼女の為になるのかは疑わしいですしw

柳下毅一郎さんは本当に凄いですね。
SFにしろアメコミにしろ私の読書嗜好はこの人の影響が大きいです。

| 骨付きタロー | 2013/01/14 22:16 | URL |















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