雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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人生を変えるきっかけとして『IPPO』

えすとえむの新作は職人もの。

408879494XIPPO 1 (ヤングジャンプコミックス)
えすとえむ
集英社 2012-12-10

by G-Tools
★★★


 
 イタリアの名門注文靴ブランドで修行を積んだ22歳の青年、一条歩。彼は日本に帰国し、「IPPO」という名の注文靴店を開くことに。歩の元には様々なお客、様々な注文が寄せられてきて…。

 靴職人を主人公に据えた漫画というのはこれまであるんだろうか。しかし毎年毎年ニッチなテーマの漫画が登場するのが当たり前になってきている現在、あんまりそれだけでは話題にはならない気もする。少なくとも職人が主人公というのは珍しくないわけで。
 ただえすとえむが注文靴(ビスポーク)をテーマとした漫画を描くというのを聞いて、決して意外には感じなかった。ケンタウロスでも靴を作りたがるケンタウロスや靴を履きたがるケンタウロスの話があったもんなあ。ツイッターのアイコンも靴だし。

 好きなものを描かせた時に今一番勢いがあるのは森薫とえすとえむじゃないかと思う。どちらの作品もそのものへの深い愛情と知識に裏打ちされているのは間違いなくて…。森薫の凄みは萌の押し売り。好き好き好きと、自分の世界観に巻き込む豪腕ってのは半端ではなくて、多分この人なら暖炉やコルセットでも面白い漫画を描けちゃうんだろう。
 対して『IPPO』はもっと堅実に一歩一歩「注文靴」の世界に近づかせてくれる。一人のお客が一つの短編に対応していて、高価な注文靴を一からお客に併せて作っていく意味が端正なストーリーと一体になって語られていく。この作品が面白いのは、イタリアの注文靴を育んだ文化が日本にはないことを理解しつつ、その上で日本で注文靴を作る意味を新たに描こうとしている所で。人生を変えるきっかけとしての特別な靴。イタリアの文化をひしひしと感じる一方で、世界観としてはすごく身近。すごく面白い読み心地だった。

 またえすとえむの絵の説得力ももの凄い。とにかく美しい。そしてキメのシーンがとにかく格好良い。本当に絵になるんだよなあ。漫画語る時に使う言葉じゃないけれども、本当に絵になる。
 やっぱり第一に美しいから、格好良いから好きになるのだ。だからこそ読み終わった時、全く興味もなかったはずのビスポークが少しだけ身近になって、自分だけの靴が欲しくなってくる。買えるかどうかは別問題として笑。

 今までのえすとえむの漫画は比較的行間を読ませる作品が多かったけれども、IPPOではある程度文化を理解していくことを求められる。その分地味で、でもめちゃくちゃ誠実な漫画。うどんの女やゴロンドリーナを読んだ人はこれもぜひ。
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