雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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そんなに世界を改変しまくって大丈夫かい?『発狂した宇宙』

アメコミ好きはぜひ読むべき!

4150102228発狂した宇宙 (ハヤカワ文庫 SF (222))
フレドリック・ブラウン 稲葉 明雄
早川書房 1977-01-14

by G-Tools


 
 恐らくこのブログを見てくださってる方にはアメコミが好きな人も多いと思う。そんなアメコミ好きにぜひ勧めたいのがこのフレドリック・ブラウンの「発狂した宇宙」。短編の名手と呼ばれるブラウンなのだけれども、長編でもちょっと癖のあるブラックユーモアに満ちたスラップスティックなSFを書いていて、これもその中の傑作の一つになる。
 「発狂した宇宙」は世界改変もの・多元宇宙ものの金字塔と呼ばれる作品で、この手の物語を読んでいればいるほどこの作品はおもしろい。そして、今この世界改変だったりパラレルワールドだったりというのを一番日常的に行ってるジャンルってのは間違いなくアメリカンコミックの世界なわけで…。アメコミ好きには外さないんじゃないかなんて思う次第。そうじゃなくとも最近は「屍者の帝国」等のスチームパンク調な歴史改変SFが日本でもプチブームなのでこれを読んでおくには良いタイミングじゃないかと。

 1954年のある夜、キース・ウィントンはロケットの墜落に巻き込まれる。ロケットに積んであった「バートン式電位差発生機」の大爆発によって彼の身体は一瞬にして消え去ってしまったように思えた。しかしキースは目を覚ます。ただし彼が生きていた世界とはずれた世界に。その世界ではスペースオペラのような科学技術が発達し、なおかつもう一人の自分、しかもキースとは少しだけ異なる自分までが存在していたのだった。現地の当局に追われながらも、この世界の謎を解き、元の世界に戻るために奮闘するキースであったが…。

 最近邦訳されたアメコミだとフラッシュポイントなんてまさにこんな感じだよなぁ。そういや子供の頃に読んでいた姉の少女漫画に、自分以外が性別逆になっている並行世界に飛ばされる作品があったのを思い出して懐かしくなった。「ここはグリーンウッド」だったっけあれは。
 このような並行世界に飛ばされて、元の世界に戻ろうと奮闘するというのは多元宇宙ものの一つの王道になるかと思う。一見「発狂する宇宙」だってそんな作品に見えるかもしれない。しかしブラウンはそんな読者を徹底的にコケにする。ただしそんな多元宇宙ものと読者へのあふれる愛情を持ってコケにする。

 しかし、そんな彼らを誰が責められますか? かように狂った世の中で…

 理性を保つなんて、まさに狂気の沙汰でしょうに!(アラン・ムーア「キリングジョーク」)


 そう、かような狂った世の中で…発狂してしまった宇宙を責めることなんて誰にも出来ない。私たち読者の心を体現するかのようなこの並行世界の仕組みの謎が解かれ、物語は文字通り少しだけずれた地点に着地する。もうこちらとしてはちょっと苦笑して、そして降参したとばかりに盛大に笑うしかない。多元宇宙ものを読んでいれば読んでいるほどこの作品は好きになれるし、その一方で「モシ無数ノ宇宙ガアルトスレバ…」の台詞には温かい気持ちになれる。この世界の仕組みには夢があるよねぇ。最高にわくわくさせてもらいました。

 そんな世界改変もの・多元宇宙ものの傑作パロディである一方、キャラクター同士の絡みだったり世界観の描写であったりも、ブラウンのブラックユーモア満載で実に楽しい。この人の視線は「火星人ゴーホーム」でもそうだったけれど、常にひねてんだよなぁ。それも悪意があったとしても、どこか憎めないひねかた。だからブラウンの作品は好きなんだよね。

 特にDC派の方は、フラッシュポイント後の世界改変であるNEW52があったりしてこの手のジャンルについて考える機会が多いんじゃないかと思う。だからこそ古典であっても、アメコミ好きは今読むべきSF。そりゃあこんなに世界改変しまくってたら宇宙だって発狂するよ笑。本当に笑っちゃうから。おすすめ。
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| 小説 | 23:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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