雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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一瞬に込められた思いの熱量『式の前日』

話題に踊らされて買ってみたシリーズ。

4091345859式の前日 (フラワーコミックス)
穂積
小学館 2012-09-10

by G-Tools
★★★


 
 結婚式・葬式等の人生における節目を描く6編の短編集。

 書店員さんのツイッターで話題沸騰ということなのだけれども、それは何となく分かる気もする。そのくらい新人とは思えないほど漫画の描き方ががこなれている。見やすくも精緻な絵、洗練された構図とコマ割り、台詞なしに心情を浮かび上がらせる表情と間…物語自体は落ち着いていても漫画を読みなれている人ほどおっ!と思っちゃうようなセンスむんむんな雰囲気。もはや「新人」という枕詞が鼻につくくらい上手い。

 人生の節目を描いた漫画というと、えすとえむの「このたびは」を思い出す。ただ「このたびは」がそうであったように、この作品が私達の人生の一瞬を切り取っているかというと、それにしてはちょっとドラマチックにすぎるよな笑。こんなシチュエーションにしろ超常現象にしろ中々普通の人生では起こりえそうもないもの。そういう意味で、別にこの作品集の舞台が人生の節目である必要性は薄いように思ったりもする。
 じゃあこの作品の肝は何かというと、全編通してとにかく独特の視点がおもしろかった。どの短編にしろ、読み始めの内は登場人物の関係性や思いがぼかされたまま話が進むので、こちらとしてはわりともやもやした気分なのだけれども…。そんなもやもやがやがて鮮烈に解きほぐされる瞬間が訪れる。物語の景色がすっと開けて、登場人物たちの思いが一気にこちらにのしかかって来る。そんな一瞬に込められた熱量は半端じゃない。そして余韻までじっくり味あわせてくれるあたりこの作者は本当に隙がない。

 なんて書いたらすごく絶賛みたいになったけど、個人的にめちゃくちゃハマりきれたかというとそうでもなくて…。というか少なくとも巷で言われているほど涙腺は刺激されなかった。自分が何かしらの作品で泣く時は、大まかに分けると登場人物に共感して泣くか、作品から自分の思い出を喚起されて泣くかのどちらかだと思う。この作品において、登場人物に共感するには状況があまりに特殊すぎたし、自分の思い出からは遠すぎた。スーパーナチュラルな現象は置いておいても、自分には初恋をウン十年も引っ張り続ける気持ちは今ひとつぴんと来ないなぁと。

 あんまりエッジの効いた作風ではないのだけれど、この一瞬に込められた思いの熱量というのは読んでみる価値はあるように思う。熱量ぐわぁって感じではなくて、限られた熱をテクニックで最大限効率的にレーザービームみたいに圧縮してる印象。長編になったらどんな漫画を描くんだろうというのも少し楽しみ。
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