雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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爽快なスチームパンク冒険譚『リヴァイアサン クジラと蒸気機関』

ページをめくる手が止まらない!

415335001Xリヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
スコット・ウエスターフェルド 小林美幸
早川書房 2011-12-07

by G-Tools
★★★★


 
 戦争の真っ只中、年ごろの青年と少女が偶然に出会う。ただし少女は軍に入隊したいがために性別を偽っていたのだけれど。お互い最初の印象は最悪だ。鼻持ちならない嫌なやつだと思う。でもやむをえない事情で行動を共にする内に段々と二人は友情を抱くようになり、そして少女は女であることを隠したまま青年への恋心が芽生えていくのだった…。

 こんな感じの物語からどんな作品を想像するだろうか。個人的には、田村由美「BASARA」や田中芳樹「アルスラーン戦記」に似てるなぁと感じたりもした(今思い返してもエステルのあれにはちょっと納得できない思いが…)。要はジュヴナイル向けの少女漫画や小説の典型とは言わないまでも、類型的なボーイ・ミーツ・ガールとは言えると思う。
 実際このウエスターフェルドのスチームパンク三部作はローカス賞のジュヴナイル部門受賞ということで対象年齢層は中高生あたりからになるのだろう。ハヤカワSFを買う人間を考えると本来の読者層には届きにくそうな気もするのだけれど。

 この作品はボーイ・ミーツ・ガールの側面を持ったスチームパンク冒険譚。遺伝子操作された空飛ぶクジラ操る英国らダーウィニストと蒸気機関・機械文明を発達させたドイツらクラーケンが争う第一次世界大戦の時代。英国空軍に性別を隠して入隊した少女デリンとドイツの公子アレックは出会い、物語は動き出す。ジュヴナイル向けとはいえ、この機械主義と遺伝子工学主義が嫌悪しあう虚実入り混じった世界観と少女マンガさながらの恋物語・冒険譚が上手くハマっていて大人でも十二分に読める物語に仕上がっている。というかページをめくらせるリーダビリティが半端ない。
 スチームパンクの魅力の一つであるヴィジュアル的な格好良さが前面に出ているのもあって非常に読みやすいんだよなぁ。蒸気やディーゼルで駆動する歩く戦車とか、空飛ぶクジラや矢弾を放出する蝙蝠なんて最高でしょ。時折挟まれる味のある挿絵も想像を上手く補完してくれる。

 類型的なボーイ・ミーツ・ガールなんて書いたけれど、実に作者はドSだよな。恋物語というのは要は二人が壁を乗り越えるまでの物語であることが多いと思う。年の差であったり、性癖であったり、それらを乗り越えることは恋人同士の心が近づくこととして分かりやすい。今作ではどうかというと、まず女であることを隠している、そして平民と公子との身分の差、さらには敵国の人間…。いやぁ、壁が高すぎるよこれ笑。もちろんそれだけこちらはドキドキしながら読まされるわけなのだけれど。

 ちなみにこれは三部作ということで、二作目「ベヒモス クラーケンと潜水艦」は既に刊行済み。完結編は今年の十二月予定で、日本が舞台となるということで楽しみに待っています。底抜けに楽しいSFを読みたい人はぜひ。
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| 小説 | 23:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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