雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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愛すべき江戸に生きる人たち『大江戸綺人譚―のっぺら女房』

もりもと崇は今何か描いてるのかな…。

4862250807大江戸綺人譚―のっぺら女房 (時代劇漫画刃)
もりもと 崇
小池書院 2006-10-20

by G-Tools
★★★★


 
 「難波鉦異本」のもりもと崇が描く江戸を舞台とした愛すべき人々の短編集。

 この人の描く人々は心底江戸に生きている感じがする。江戸を別に詳しく知るわけもない私から見ても、もりもと崇がめちゃくちゃ時代考証に気合を入れていることや資料を調べまくっていることは伝わってくる。というのもやはり漫画ってのは小説と違ってごまかせないからだ。家や町並みから小物まで、小説だったら分からなくても描写しなかったら済むところも漫画だったらそうはいかない。もりもと崇にしろ杉浦日向子にしろ仕事の域を超えて江戸を愛してなきゃ出来ないよなぁ、こんな大変なこと…。だからこそこの人たちが描く江戸の臨場感や人々の活気は他とは桁が違うのだと思う。

 もりもと崇の絵は上手いとはちょっと言い難い気もする一方、ほのかな色気と思い切りの良い線には艶があって読んでいて気持ちがいい。遊郭を舞台としていた「難波鉦異本」同様、この短編集でもけっこうエロくてグロい場面が少なくないのに、そんな絵もあってかあんまり気にならない。むしろ何か微笑ましいと言ったら誤解されてしまいそうだけれど、どことなく人情味があって楽しいのだ。

 そしてまたお話作りが上手いんだよなぁ。ひどい扱いに憤った女郎達のちょっとした反抗が思わぬ盛り上がりにつながったり、スカトロエモンに悩む妾が骸芸人に弟子入りしたり、カタすぎて師匠に閉口される侍が少女に連れられてエロスポットを巡ったり…。なかなか江戸時代ものと聞いて想像もつかないような捻りの効いたストーリーが、偏執的なほどの時代考証の上に乗っかって語られていく。伝わってくるのは江戸の人々の食えなさであり、活気であり、意地だ。つまり最高におもしろい。

 表題作ののっぺら女房なんてまあ何とも奇抜な設定なのだけれども、昔話というか江戸時代の小話として全く違和感がないほどに作りこまれていてこの作品集の真骨頂じゃないかと思う。のどかで、毒のあるユーモアと愛があって、男は情けなくて女は強い。
 他にも生きるか死ぬかのシビアな世界に生きる女郎の恋を描いた佐渡太夫の話はとにかく泣けるし、実際の仮名草子を基にしたという水鳥記は心底馬鹿な話でとにかく楽しい。いつの時代の人々も変わらず馬鹿やってんだなぁとにやり。

 ということで煮ても食えない江戸の愛すべき人々を描いたこの短編集、もちろんおすすめ。読んだらきっと江戸が愛おしくなるはず。しかし今もりもと崇は漫画描いてるのかな…。これだけ素晴らしい作品描ける人なのでまたどこかで連載されることを期待してます。
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