雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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漫画でしか読めない奇妙な味『空が灰色だから』

話題作に留まらないんじゃないかこれは。実に好みです。

4253217168空が灰色だから 2 (少年チャンピオン・コミックス)
阿部 共実
秋田書店 2012-07-06

by G-Tools
★★★★


 
 前回のレビュー(→)を若干抽象的に書きすぎたかなぁと思っていたので、ちょっと補記。

 前にもこの漫画のおもしろさは予定調和的でないことだ、というのは書いた。要は話がどう転ぶか先が読めないってことなのだけれども。

 ジャンル分け不能そうなこの漫画、実は小説には「奇妙な味」というジャンルがありまして…。ミステリーやSFの範疇に収まらない、異様な物語やキャラクターが特徴で、日本では「奇想コレクション」や「異色作家短編集」のシリーズが刊行されている。2巻を読んで気付いたのは、この漫画の「心がざわつく」というのは「奇妙な味」の不穏な読後感そのものだなぁということで。
 阿部共実は日常の中にある人間の微妙な関係性のずれ・不穏な狂気・隠れた悪意を描き出すのが実に上手い。その発想も奇想天外。そういう意味では現代漫画界に突如現れたマシスン、もしくはシャーリィ・ジャクスンと言えるんじゃないかぐらいに思う。週刊でこのクオリティを維持しているのは本当に驚異的。

 もちろんお話作りに長けた作家さんなのだけれども、「奇妙な味」を漫画で楽しませてくれた作家というのは別にこの人が初めてじゃない。F先生の短編は言うまでもなく、駕籠真太郎の作品なんて最高に奇想(かつバカ)だ。
 この漫画の真の新しさというのは「奇妙な味」を漫画という表現媒体を上手く活かして、おもしろく読ませてくれる所にあると思う。

 ここで引き合いに出されるべきは、三宅乱丈の「ユーレイ窓」かと。

4778321022三宅乱丈作品集 ユーレイ窓 (Fx COMICS)
三宅乱丈
太田出版 2009-11-19

by G-Tools

 「ホラー」と「笑い」が隣あわせというのはよく言われる。まあ伊藤潤二を読めば嫌でもそう思うことになる笑。
 それを一つの作品集の中で初めて確信犯的に利用したのは、私が知る限りでは三宅乱丈の「ユーレイ窓」。三宅乱丈はすごく作風の広い作家で、ぶっせんのような傑作コメディも描ければ、PETやイムリのような傑作SFも描ける。まちこ舟のようなとんでもないキワモノも描ける。要はこの人の絵柄ってどのジャンルでも違和感がないわけ。「ユーレイ窓」はホラーからファンタジー、人情ものまで様々な短編が収録されている。しかし絵柄からはどういう作品なのかは分からない。だから話の先が読めないし、ホラーかと思って震えながら読み進めると、実はギャグ漫画だったことが分かって、その落差も含めて大爆笑なんて事態だって起きる。

 阿部共実が「空が灰色だから」でやっているのは「ユーレイ窓」の真逆のことだ。この人の絵柄から想像されるのは、どうしたって可愛らしいキャラクターが活躍するほのぼのコメディとかそういう作風。でも実際にはそうじゃあない。先が読めない異様な物語やキャラクターたちが爆走するのだ。そのギャップが「奇妙な味」をより一層引き立てるし、居心地の悪さを際立てる。たまに来る直球には目を回すことになる。しかも味が偏らないよう上手く話の順序が構成されているのが感じられるのも憎いよなぁ。

 というわけで漫画でしか読めない「奇妙な味」が楽しめるこの作品、もちろんおすすめ。今が旬なのかどうなのか、これからもより一層奇妙な味を期待してます。奇想好きの本読みの方々にもこういう漫画もあるよってことでぜひぜひ。
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