雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

迷子と失われたものを巡る冒険『ロスト・シング』

ショーン・タンの原点。

4309273300ロスト・シング
ショーン タン 岸本 佐知子
河出書房新社 2012-06-23

by G-Tools
★★★★



 ショーン・タンの最新邦訳の絵本。アライバルやレッドツリーでも触れてきたショーン・タンの原点的な作品になるのかもしれない。

 ビンのふたをコレクションするのが趣味の男の子。彼はいつものように砂浜へビンのふたを探しに行くと、大きくて奇妙なロスト・シング(迷子)を見つけてしまう。仲良しになった彼らは、一緒にその奇妙な迷子の帰る所をさがすことになって…。

 相も変わらず凝りに凝りまくった絵本だ。表紙をめくった先の見開きには、主人公の男の子が集めているビンのふたコレクションが飛び込んでくる。絵は隅から隅まで丁寧に描きこまれているし、目を凝らせば奇妙な機械や生物たちが数え切れないほど潜んでいる。絵の背景紙として使われているものは、何とショーン・タンが使っていた数学の教科書を切り貼りしたものだという。
 もはや偏執狂的に凝ってると言ってもいい。話の本筋だけ追っていく人にとってはこれらは全くの無駄だろう。でもショーン・タンの作品を愛する人たちはその無駄こそを愛しているのだ。
 
 この作品は奇妙な迷子を巡る冒険であり、私たちが失ってしまったものを見つめなおす旅でもある。ロスト・シングを楽しむためには、無駄を楽しまないといけない。でもこれって昔は自然にやっていたことなんだよなぁ。ビンのふたコレクションはしていなかったけれど、子どもの頃はセミの脱皮を何時間でも飽きずに眺めていられたし、木で出来た天井板を眺めては年輪を数えていた。

 作品の最後で大人になった少年もまた、画一化・効率化された社会の中に放り込まれる。「ぼくも、他のことをやるのに忙しすぎるんだろう。きっと。」と嘆く彼の目に写る世界は、鮮烈なイマジネーションに満ちていたかつてと比べると驚くほどにつまらない。彼は今でもビンのふたを集め続けているだろうか…。
 
 読み終わると、何となく身につまされた気分になる。年を重ねるにつれて一年が速くなってくるのは自分だって無駄を失くした繰り返しの生活になっているからかもしれない。無駄を切り捨てまくっているつもりはないけれど、確実に失われたものはあるんだろう。
 でもだからこそショーン・タンの作品は何度も読み返したくなるんだよなぁ。失われたものがそこにはいっぱいに詰まっていて、読んでいる間だけでも失われていなかった時代に戻れる気がする。
スポンサーサイト

| 小説 | 22:23 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://honetsukitaro.blog.fc2.com/tb.php/211-0ceec711

TRACKBACK

まとめtyaiました【迷子と失われたものを巡る冒険『ロスト・シング』】

ショーン・タンの原点。ロスト・シングショーン タン 岸本 佐知子 河出書房新社 2012-06-23by G-Tools★★★★

| まとめwoネタ速neo | 2012/07/04 12:04 |

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。