雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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読み返すことで変わるもの『駅から5分』

駅から5分の町、花染町を舞台に描かれる連作短編集。色んな意味で超濃密。

駅から5分(くらもちふさこ)

★★★★



やはりくらもちふさこはすげぇーよ、と思わせてくれる。いや、技巧的な意味だけではなくね。

連作短編集ということで、短編によって主役は異なる。ある短編では主役でも、他の短編では脇役だったり、脇役とも言えない端役だったり、短編によって視点と人間関係はどんどん変化する。例えば知人や友人という直接的なものから落し物を拾った程度の些細なものまで色んな形があるし、もちろん登場しないことだってある。

別にこの技法はくらもちふさこのオリジナルというわけではなくて、映画や小説、時に漫画でも同様の技法が使われているものはけっこうある。陰日向に咲くなんてまだ記憶に新しい人も多いだろう。
しかし、くらもちふさこの凄さはこの複雑な技法を完璧に使いこなしている所。短編を一つ読むと、この人はこんな感じなんだなと考える。しかし読んでいくうちに、視点が変わるうちにどんどん色んなキャラクターの印象が変わっていく。まるで万華鏡のように見る角度によって色んな人の違う面を見せてくれる。1巻、2巻、3巻、そして読み直すごとにそれはどんどん深化して、変化が止まることはない。

本当に刺激的な漫画体験。読めば読むほどにおもしろい。
くらもちふさこは別にみんなが主役、なんて言いたいわけではなくて、一人の人間を掘り下げて描くためには一つの視点では足りないと考えただけだと思う。私がイメージしたのは連立方程式の、あの2つの式で一つの点が決まる感覚。もちろん人間はそんなに単純じゃないから絶対的にこういう人だ、と決まることはない。でもその点に近づいていく感覚が楽しいのだ。

一つ一つの短編を見ても十分おもしろい。やはりくらもちふさこが描く妄想劇は気づかぬうちに引きずり込まれてしまう。共感するというかもう本当にそのキャラクターの内面に引きずり込まれる感じ。
表現技法も相変らず新しいというか、すごいわ。文字や言葉に頼らない濃密な心理描写は相も変わらず見事の一言だけど、インターネット掲示板のイメージとかおもしろいよね。

実験的なために人は選ぶかもしれないが、くらもちふさこが天才と言われる理由を肌で感じられる作品。読むとひどく疲れるくらいに。
ちなみにスピンオフの「花に染む」の連載のために現在駅から5分は休載中。セットで読むとより理解が深まると思うのでおすすめです。あちらも同じくらいおもしろいし、やっぱりくらもちふさこはすごいな。
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