雨の中の涙のように・・・

雨の中の涙のように、私の記憶もみな時と共に消えてしまうのか? そうなる前に日本内外問わず私の愛する漫画や映画、小説について書き残しておくブログ。

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羅川真里茂が問う贖罪『朝がまたくるから』

何というか、読み返すたびに色んな意味で何とも言えない思いになる。

4592198166朝がまたくるから (花とゆめCOMICSスペシャル)
羅川 真里茂
白泉社 2010-04-19

by G-Tools
★★★



 羅川真里茂がドラマを描く名手であることは私が言うまでもない。「赤ちゃんと僕」の広瀬とその漫画家である父親のエピソードにおける、“漫画は人間同士の心が動くからおもしろいんだ”という拓也の台詞は羅川先生の偽らざる気持ちだろうし、それを今まで実行し続けているから羅川作品はまさにずっと変わらずおもしろい。

 赤ちゃんと僕、しゃにむにGO!、いつでもお天気気分、チムアポート、ましろのおと…ホームドラマからスポーツや音楽もの、ファンタジーまで羅川作品の核には人間同士のドラマがある。チムアポートは以前書いた記事のように、ファンタジーとしては今ひとつでも人間ドラマとしてはやっぱりおもしろかった。
 それは“贖罪”という重いテーマを持つ3中篇を収録した、この「朝がまたくるから」においても変わらない。やはりどんなに重苦しいものであっても羅川真里茂は美しくドラマに仕上げ、彼らを救済してしまう。

 最初見た時、素直に感動した。ああ、羅川真里茂の真骨頂だなと。でも読み返していくうちに、ふとここまで物語を堪能してしまって私はいいのだろうかという疑念が芽生えてきてしまったわけで。
 誤解して欲しくないのは、羅川先生が真摯にそれぞれの作品のテーマと向き合っているのは確かなのだ。でも、何というか美しいドラマに仕上げて、読者をすっきり感動させてしまうのは羅川真里茂の持ち味だけれど、それはこのようなシリアスな作品集において長所と裏返しの欠点も露呈してしまっている気がする。

 要は“重さ”がよりドラマを盛り上げる助けになってしまって良いのか?、ということで。こんなシリアスなテーマなのにそのおもしろみはいつもの羅川作品と変わらない。相も変わらず、美しい物語に読者は酔いしれ涙する。
 それは素晴らしいことでもあるけれど、でも「朝がまたくるから」においてはいつものように全てを肯定することはできない。ドラマであるということは、裏返すと現実ではないということだから。そして私はドラマであって欲しくなかった作品集なのだ、この作品は。

 でもドラマを描かない羅川真里茂はもう羅川真里茂じゃないんだよなぁ。そういう意味では羅川ファンの私だけれど、向いてない作品だったのかもしれない。
 これからも変わらず羅川ファンではあり続けるのは変わらない。ただ羅川真里茂の良い所がはっきりした一方、限界も見えてしまった気がしてならない。

 やっぱり「朝がまた来るから」を読み返すとおもしろいのだ。そしておもしろいからこそこの気持ちの行き所の始末に困ってしまう。慈しむような優しさに満ちている作品だけれども、でもなぁ…。
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